ヒートマップの読み方:時間で見るガンマ
NetとAbsのヒートマップを使い、持続する水準、流動性が集まりつつあるゾーン、そしてローソク足より先にボラティリティを警告する色の反転パターンを見つける。さらに、ヒートマップを離れてスナップショットの週次表示に切り替えるべき場面(金曜のピン留めなど)を知る。
これまでのレッスンでは、GEXのスナップショット1枚がどう見えるかを学んできました。壁、ガンマフリップ、コンフルエンスの★です。でもそれは写真です。マーケットは映画です。
ヒートマップは、スナップショットを映像に変えてくれます。GEXを2次元のグリッドに描き、X軸が時間、Y軸がストライク価格です。各セルは、その瞬間にそのストライクにどれだけのガンマがあるかで色分けされます。
このレッスンでは、ヒートマップの読み方と、通常のGEXチャートでは見えないことを教えてくれる理由を学びます。
2つのヒートマップ、2つの目的
GammaFlipには2つのヒートマップモードがあります。見た目は似ていますが、答えている問いが違い、これまで学んだマーカーにそのまま対応しています。
Net GEXヒートマップ — すべてのストライクの符号付きガンマ
Netヒートマップは、ストライクと時間の各セルの符号付きガンマを表示します。壁だけでなく、全体の地形が見えます。P/Nマーカー(レッスン3〜4)はこの中で最も明るいピークですが、その周りにある小さな安定化ゾーンや増幅ゾーンもすべて見えます。
- 緑 = プラスのガンマ(安定化ゾーン。最も明るい緑がP1/P2)
- 赤 = マイナスのガンマ(ボラティリティゾーン。最も明るい赤がN1/N2)
- 明るさ = 大きさ。セルが明るいほど、そのストライクでの力が強い
何日も続いている明るい緑の帯は、持続する壁です(おそらく現在のP1)。明るい赤の帯は、持続するマイナスの壁です(おそらくN1)。ただ、ヒートマップの価値はその間のグラデーションが見えることにもあります。安定化の力がどこで弱まるのか、弱い壁がどこにあるのか、相場環境がどこで切り替わるのかがわかります。

Absolute GEXヒートマップ — すべてのストライクの符号なしの大きさ
Absヒートマップは、ストライクと時間の各セルの符号なしのガンマ総量を表示します。最も明るい行は、全体として最もオプション取引が多いストライクです。暗めの行は、その取引が隣のストライクにどう広がっているかを示します。
- 単色で、強さに応じて濃淡が変わる — 明るいほど、そのストライクのガンマ総量が大きい
- 緑と赤の区別はありません。Abs表示は符号を気にせず、集中度だけを見ます
明るい行は、オプション取引の総量が集まっている場所です。流動性の高いゾーンで、現物価格がそこに来るたびに、ヘッジフローが増え、値動きのノイズが増えると考えておきましょう。

どちらを使うか
| 知りたいこと | 使うもの |
|---|---|
| 持続するP/Nの壁はどこか? | Netヒートマップ |
| 壁にひびが入り始めていないか?(緑の中に赤が出現) | Netヒートマップ |
| 持続する高流動性/高出来高のゾーンはどこか? | Absoluteヒートマップ |
| オプション取引の総量が新しい場所に集まりつつあるか? | Absoluteヒートマップ |
| 金曜のピン留めはどこになるか? | スナップショットチャートで週次の満期を選択(ヒートマップはすべての満期を合算しているため) |
注目すべき3つのパターン
ヒートマップが最も力を発揮するのは、チャートとしてではなく、パターンとして読むようになったときです。ひと目でわかるようにしておきたいパターンが3つあります。
パターン1:水平の帯 — 持続する水準(Netヒートマップ)
複数日にわたって明るさを保っている水平の帯は、持続する水準です。点いたり消えたりするストライクは、日々のフローとともに現れては消えます。何日も色を保っているストライクは、構造的な役割を果たしています。
実践での使い方: 持続する水準は、新しい水準より重みがあります。P1が今日現れたばかりなら、短期的な目安として扱いましょう。P1が5日連続で同じストライクなら、主要な構造ゾーンとして扱いましょう。N1についても同じです。
パターン2:明るくなっていく行 — 集まる流動性(Absoluteヒートマップ)
Absヒートマップで、複数日にわたって目に見えて明るくなっていく行は、そのストライクにオプション取引が集まりつつあることを示します。すべての満期を合わせて、市場がそこに契約を積み上げているのです。その結果、価格がそこに来るたびに、ヘッジフローが増え、スプレッドが縮まり、双方向のノイズの多い値動きになります。
実践での使い方: 週次のスナップショットで持続するA1/A2の候補として現れる前に、新しく生まれつつある高流動性ゾーンを早めにマークしておきましょう。明るくなっていく行は、現物価格が近づいたときにフローとノイズがどこに集まるかを教えてくれます。ただし金曜のピン留めについては、やはり週次の満期を選んだスナップショットチャートが必要です。ヒートマップはすべての満期を合算しているので、直近の週次の磁石だけを切り出せません。
パターン3:色の反転 — 緑の帯が赤に変わる(Netヒートマップ)
最も実践的で、スナップショットでは最も見つけにくいパターンです。緑の帯を数時間見ていてください。その中に赤い筋が現れたら、壁にひびが入り始めています。そのストライクのディーラーが、安定化から増幅へと切り替わりつつあるのです。
24〜48時間以内に、緑の帯が完全に反転して赤いゾーンになることがあります。レジスタンス(またはサポート)として働いていた水準が、値動きが加速して抜けていくボラティリティゾーンに変わります。
実践での使い方: これはヒートマップが出す最も早い警告です。スナップショットには今日もまだ壁が表示されていますが、ヒートマップは構造の崩れを先に見せてくれます。その水準への確信度はすぐに下げましょう。赤い筋が広がっていくなら、その水準をまたぐトレードは逆張りの発想から順張りの発想に切り替えましょう。
合言葉は:
レジスタンスは価格より先にGEXに現れる。反転はローソク足より先にGEXに現れる。
実例 — 2026年4月のBTC
2026年4月13〜20日の実際のケースでは、3つのパターンすべてが同時に働いていました。

4月13〜16日 — パターン1の実例。 $75-76Kに明るい緑の帯が3日間ありました。BTCはそこまで上昇し、試し、跳ね返され、押してから、もう一度試しました。価格が触れる前から、壁はヒートマップに見えていたのです。ディーラーはあらかじめヘッジを組んでおり、ヒートマップはローソク足が確認する何日も前に天井を示していました。
4月16〜17日 — 材料のあとのポジション組み直し。 イスラエルとレバノンの停戦(4月16日21:00 UTC、日本時間4月17日6:00)とホルムズ海峡の再開(4月17日)で、BTCは$75Kから$78.2Kまで一気に駆け上がりました。ヒートマップはほぼ即座に組み直され、$77-78Kに新しい緑の壁ができました。価格はそこに当たり、ちょうどその水準で失速しました。仕組みは同じで、天井が新しくなっただけ。やはり予測可能でした。
4月17〜19日 — パターン3の実例:色の反転。 4月17日のまさに天井で、$77Kの緑の壁を赤い筋が突き破りました。48時間以内に、その筋は$72Kから$77Kまでの完全な赤いボラティリティゾーンに広がりました。24時間前にはレジスタンスだった水準が、モメンタムゾーンの上限に変わり、価格もそれに従いました。
スナップショットだけを見ていた場合、赤い筋が最初に現れた時点でも、$77Kの緑の壁はまだ健在に見えていました。ヒートマップは構造の崩れを早く示しており、スナップショットはおよそ1日遅れていたのです。
トレード。 ヒートマップを見ていれば、次のように動けたはずです。
- 4月13〜16日のレンジで、$75-76Kを利確ゾーンとして使う
- 材料による上昇のあと、$77-78Kでショートを組み直す
- 4月17日に赤い筋が最初に現れたとき、ボラティリティの反転をとらえる
- 赤いゾーンが固まったら、その水準での逆張りをやめ、順張りの発想に切り替える
判断は3つ、チャートは1つ。どれも、リアルタイムではスナップショットに映っていませんでした。
ヒートマップがスナップショットに勝つとき
「今、レベルはどこにあるか?」を知るだけならスナップショットで十分です。次のことを知りたいときは、ヒートマップのほうが優れています。
- この水準は新しいのか、古いのか? 今日現れたばかりの壁は、1週間続いている壁より信頼性が低くなります。
- 流動性がどこかに集まりつつあるか? スナップショットには推移が映りません。ヒートマップには映ります。
- 壁にひびが入り始めていないか? 緑の帯の中の赤い筋は、スナップショットでは手遅れになるまで見えません。
ヒートマップが特に役立つのは、スナップショットに表れる何日も前に構造の変化を見つけるときです。持続する帯が固まっていく様子、壁にひびが入る様子、取引がストライク間を移っていく様子がわかります。ただし金曜のピン留めについては、ヒートマップは役に立ちません(TOTAL専用のため)。それにはスナップショットチャートの週次の満期を使いましょう。
ヒートマップで無視すべきもの
いくつかの落とし穴があります。
- かすかな光や小さなきらめき。 ぽつんと孤立した小さな明るい点は、たいていフローのノイズです。1件のブロックトレードや、取引所固有のクセなどです。点の光ではなく、続いている帯を探しましょう。
- 清算日の断絶。 金曜08:00 UTC(日本時間17:00)のあと、ヒートマップにはチャートが組み直される縦の「切れ目」が表示されます。切れ目をまたいでパターンを読もうとしないでください。連続していません(詳しくはレッスン9で扱います)。
- 色の強さ ≠ 行動すべき水準。 現在価格から$20K上にある明るい帯は関係ありません。価格からの距離はやはり重要です。実際に使える情報を得るには、現在価格の近くを拡大してヒートマップを読みましょう。
シンプルなヒートマップのルーティン
すでにスナップショットのルーティン(ガンマフリップ/P1/P2/N1)があるトレーダーは、1セッションに1回、ヒートマップのチェックを加えましょう。
- ヒートマップを開く(Historyタブ)
- まずNetから見る。構造を読むためです
- 現在価格の近くで、過去3〜5日分を見る
- 複数日にわたって色を保っている水平の帯をメモする — それが持続するP/Nの水準です
- 色の反転をスキャンする — 緑の帯の中の赤い筋、またはその逆。これは早期警告です。その水準への確信度を下げましょう
- Absに切り替える。持続する高流動性ゾーン、つまりオプション取引の総量が複数日にわたって集まっているストライクをマークします。(金曜のピン留めそのものには、スナップショットチャートの週次の満期を使いましょう。ヒートマップはすべての満期を合算しているので、それを切り出せません。)
かかるのは1〜2分。すでにやっている静的な読みに時間の軸が加わり、スナップショットでは動き出してからでないと見えない構造の崩れが浮かび上がります。
覚え方
スナップショットは「どこか」を教えてくれる。ヒートマップは「信頼できるほど長くそこにあるか」を教えてくれる。
ほとんどのトレーダーはヒートマップを見ません。スナップショットで目先の疑問が解決するからです。ヒートマップを見て、水平の帯を持続性として、明るくなっていく行をピン留めとして読めるようになったトレーダーは、1枚のチャートしか見ないトレーダーが見逃す構造的な優位性を手にします。
次のレッスン:マーカー、コンフルエンス、ヒートマップ。これらすべてを、今使っているテクニカル分析のワークフローに組み込む方法を学びます。
理解度チェック
ヒートマップの$96,000に、過去5日間ずっと明るい緑の水平の帯があります。ここから何がわかりますか?
$96,000は持続する壁です。プラスのガンマが複数日にわたってそこに集中し続け、日々のフローの変化にも耐えています。今日現れたばかりのP1より、ずっと強い構造的な水準です。確信度の高い利確/平均回帰のゾーンとして扱いましょう。
水曜日です。Absヒートマップで、$98,000の行が日に日に目に見えて明るくなっています。ここから何がわかり、何が*わからない*のでしょうか?
すべての満期を合わせたオプション取引の総量が$98Kに集まりつつあります。現物価格がその水準に来るたびに、ヘッジフローが増え、流動性が厚くなり、値動きのノイズが増えると考えましょう。わからないのは、金曜のピン留めがどこになるかです。ヒートマップはすべての満期を合算しているため、直近の週次満期だけを切り出せません。金曜の磁石を確認するには、スナップショットチャートに切り替えて週次の満期を選びましょう。そこでのA1が、市場が実際に張り付く水準です。
$77Kの緑の壁を2日間見てきました。今朝、その中に小さな赤い筋が現れました。これは何を意味し、どうすべきですか?
壁にひびが入り始めたことを示す、最も早いシグナルです。そのストライクのディーラーが、安定化から増幅へと切り替わり始めています。$77Kをレジスタンスとして見る確信度は、すぐに下げましょう。次の24〜48時間で筋が広がれば、その水準は完全に反転してボラティリティゾーンになり、そこを抜けてモメンタムが続くと考えられます。逆張りでその前に立ちはだかるのはやめましょう。