絶対値の壁(A1/A2):オプションが積み上がる場所
A1/A2を最も取引が集中するストライクとして見分ける。普段は出来高の多いゾーン、金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の清算前には強力なピン留めの磁石になる。
ここまでで、符号付きのガンマの壁を2種類見てきました。プラスの壁(P1/P2)とマイナスの壁(N1/N2)です。このレッスンでは、まったく別のカテゴリーを扱います。符号をまったく気にしない壁です。
それが絶対値の壁です。チャート上ではA1とA2として表示されます。
A1とA2とは
A1とA2は、ガンマの総量が最も大きいストライクを示します。ネットがプラスかマイナスかに関係なく、コールとプットを合算した値です。その価格帯にオプション取引がどれだけ集中しているかを、そのまま測っています。
プットの建玉(OI:そのストライクで現在残っているオプション契約の数)が巨大で、コールの建玉も同じくらい巨大なストライクでは、ガンマがネットでゼロになることがあります。この場合P1/N1のマーカーは付きませんが、絶対値は非常に大きくなります。A1が現れるのはこういう場所です。

なぜ重要か:出来高、圧力、ピン留め
A1とA2は、オプション市場で最も多くの契約が積み上がっている場所です。トレーダーにとってここから2つのことが言え、どちらも役に立ちます。ただし、効くタイミングが違います。
1つ目:A1/A2の周辺では、いつでも出来高が多くなりやすい。 これらのストライクで大きなポジションを抱えるマーケットメイカーは、価格が近くで動くたびに、売り買い双方のヘッジフロー(価格が動いてもニュートラルを保つためにディーラーが行う売買)を出し続けます。そのフローは、価格が近づくにつれて、スプレッドの縮小、厚い板、そして無期限先物や現物での目に見える出来高の増加として現れます。サイクル半ばの静かな火曜日でも、A1は建玉の少ないストライクより活発に取引される水準です。トレードプランの中にA1付近のレベルがあるなら、そこではノイズやヒゲが増え、双方向の激しいフローが出ると想定しておきましょう。
2つ目:ピン留めが起きやすい。最も強くなるのは金曜サイクルの終盤。 出来高を生むのと同じヘッジフローが、価格をその場につなぎとめる働きもします。金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の清算(SQ)が近づくと、ヘッジの時間的なプレッシャーが強まり、価格はA1に引き寄せられていきます。これが教科書どおりのピン留め(価格の張り付き)効果で、A1/A2の最も大きな特徴です。
チャート上にはマックスペイン(MP)というマーカーも表示されます。これは別の方法で計算される、ピン留めに関連した指標です。A1とMPが同じストライクに重なると、最も強いピン留めが起きます。詳しい仕組みはオプション側のテーマなので、深く知りたい方はブログ記事 Max Pain Explained(英語記事)を参照してください。
A1/A2とP1/P2の違い
多くのトレーダーがつまずくのがここです。

A1とA2は「より強いP1/P2」ではありません。役割の異なる別のシグナルです。まず出来高の集中を示し、タイミングが合えばピン留めを示します。
金曜のプレイブック
ピン留めの効果は、金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の清算が近づくほど強まります。実際の時間軸は次のとおりです。
1週間以上前: A1/A2は参考レベルですが、主役ではありません。P1/P2とガンマフリップを基準にトレードしましょう。
最後の48時間: ピン留めが効き始めます。A1周辺での価格の動きに注目してください。A1に向かってじわじわ寄っていく動きは、そのまま定着しやすくなります。
金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の8〜12時間前: A1が磁石のように働きます。トレンドに逆らう反発はすぐに失速します。価格はA1ゾーンの中で狭いレンジを上下します。
清算の瞬間: 落ち着いた日には、価格がA1から$50〜200以内で引けることがよくあります。特にA1=マックスペインのときです。
金曜の朝まで無期限先物のポジションを持ち越すなら、利確や損切りの位置の基準にすべきはA1です。お気に入りのテクニカル分析のレベルではありません。
ピン留めが効かないとき
ピン留めは保証ではありません。次のような場合には効きません。
- 強い方向性の材料が市場を直撃したとき(マクロのニュース、取引所の出来事、大規模なロスカットの連鎖など)
- 建玉が異常に薄いとき(ピン留めの力が弱い)
- A1が現在の現物価格から遠く離れているとき。磁石が引き寄せるのはある程度の範囲内だけで、目安は価格の1〜2%です
金曜に向けて価格がA1から約3%以上離れているなら、強いピン留めは期待しないでください。その代わりに、実際の構造(P1/P2/N1/N2)に沿ってトレードしましょう。
覚え方
P1は価格を止める。A1は出来高を集め、金曜には価格をピン留めする。
金曜サイクル以外でも、A1は「ただのデータ」ではありません。オプション取引が最も集中している水準であり、それはいつでもオーダーフローが最も多く、流動性が最も厚い場所だということです。ピン留めは、清算が近づいたときにやってくるおまけです。
次のレッスン:コンフルエンス。複数のマーカー(P、N、A、そしてガンマフリップ)が同じ水準に重なったとき、GEXチャートをどう読むかを学びます。
理解度チェック
金曜の朝です。BTCは$96,500。A1は$97,000で、マックスペインも$97,000です。この日の残りの構造的なバイアスは?
$97,000への強い上向きの磁石です。A1とマックスペインが重なると、ピン留めの効果が強まります。強い外部要因が構造を崩さない限り、金曜の清算に向けて価格は$97K付近に引き寄せられると考えましょう。
静かな火曜日で、次の金曜サイクルの終わりまで2週間あります。A1/A2はどのくらい重視すべきですか?
そこまで先だとピン留めの効果は弱いですが、A1/A2はチャート上で最も出来高の多いストライクであることに変わりありません。その水準の周辺ではオーダーフローが増え、流動性も厚くなると考えましょう。価格がまだ引き寄せられていなくても、売り買い双方の動きがどこに集中するかを知るのに役立ちます。ピン留めが支配的になるのは、最後の24〜48時間だけです。
P1とA1の違いは何ですか?
P1は*プラス*のガンマが最大のピークで、ネットの安定化の圧力を示します。A1は*絶対値*のガンマが最大のピークで、オプション取引の総量(符号を無視してコールとプットを合算)を示します。A1はプット中心のストライクにも、コール中心のストライクにも、両方が多いストライクにも現れます。測っているのは、ガンマの総量がどれだけ集中しているかだけです。