金曜リセット
木曜と月曜でGEXの姿が違って見える理由を知り、1週間のサイクルを通してチャートを読めるようになる。
GEXを使い始めた人が必ず驚く瞬間があります。木曜にチャートを研究し、レベルを引き、金曜のトレードを計画する。ところが月曜の朝、チャートがまるで別の銘柄のように見えるのです。
壁が動いた。ガンマフリップがずれた。信頼していたマーカーが消えたり、並び替わったりしている。
何も読み間違えていません。チャートがリセットされたのです。金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の清算(SQ)は、GEXの姿をゼロから組み直す構造的なイベントです。
このレッスンでは、実際に何が起きているのか、いつレベルを信頼すべきか、そして1週間のサイクルを通してどうトレードするかを扱います。
金曜の清算で何が起きるか
Deribit(とほとんどの取引所)の暗号資産オプションには4種類の満期があり、すべて08:00 UTC(日本時間17:00)に清算されます:
- デイリー — 毎日清算。ほかより出来高は少なめで、小さく一定の「鼓動」のような存在です。
- ウィークリー — 毎週金曜に清算。定期的な構造イベントとしては最大です。
- マンスリー — 月の最終金曜に、その日のウィークリーに加えて清算。
- クォータリー — 四半期の最終金曜に、マンスリー+ウィークリーに加えて清算。
つまり金曜08:00 UTC(日本時間17:00)は、ウィークリー、マンスリー(月末の場合)、クォータリー(四半期末の場合)が一斉に清算される瞬間です。その時刻が来ると、その金曜に清算されるコントラクトはすべて手仕舞われ、建玉の全体像から消えます。
GEXは未決済のコントラクトから計算されます。清算されたコントラクトは計算から外れます。それらが集中していたストライクには、24時間前のような構造的な圧力はもうありません。
具体的には、木曜午後のP1の壁は、その70%が金曜に清算されるウィークリーでできていることもあります。清算後、そのコントラクトは消えます。P1はまったく別のストライクに移るかもしれません。次の建玉の塊が集中している場所へ、です。
消える分はどれくらいの大きさなのか? 期間構造(Term Structure)チャート(Expiryタブ)がその答えを直接示してくれます。満期ごとのABS GEXを取引所別の積み上げバーで表示するので、Combined(合算)の全体像の中で各満期がどれだけの重みを持っているかがわかります。

各列は上の満期の種類に対応しています。x軸ラベルの色で見分けられます(青=ウィークリー、紫=マンスリー、赤=クォータリー、色なし=デイリー)。直近の満期の列が全体の大きな割合を占めているなら、金曜リセットは見た目だけの変化ではなく構造的な変化です。それが08:00 UTC(日本時間17:00)に消えるGEXの割合です。
ダッシュボードのABS GEX(24h)タイムラインでは、リセットをリアルタイムで確認することもできます。デイリーが清算される毎日08:00 UTC(日本時間17:00)に小さな段差があり、金曜はウィークリーの清算が重なるので段差がはっきり大きくなります。

1週間のリズム

チャートは1週間のサイクルで呼吸しています。このリズムが見えるようになると、リセットはランダムには感じなくなります。
月曜〜火曜: 新しい姿が落ち着いていきます。建玉は次の金曜に向けて積み上がり直している最中です。新しい清算サイクルが動かすレベルはまだ形になりきっていません。チャートを主に動かしているのは、週半ばの満期やより先の満期のポジションです。
水曜〜木曜: 金曜への集中が支配的になり始めます。P1、P2、N1はますます金曜のストライクを反映するようになります。取引が次の清算に流れ込むので、チャートはシャープになり、レベルが「締まって」見えます。
木曜午後〜金曜朝: 金曜への集中がピークに。A1が価格を引き寄せ始めます(レッスン5で見たとおりです)。最も強いピン留めのセットアップはここにあります。
金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の清算: リセット。コントラクトが消え、チャートが組み直されます。
金曜午後〜日曜: ポジションが次の金曜に向けて移っていくにつれ、新しい姿がゆっくり形になります。全体的に建玉は少なめで、月曜〜火曜まではレベルの信頼性が下がります。
サイクルを通してレベルを読む
実践のルール:レベルの信頼性は、どの時間軸の建玉がそのレベルを動かしているかで決まります。
- 主に今週金曜の建玉が動かしている壁の賞味期限は24〜72時間。戦術的にトレードし、数日がかりのポジションの土台にはしないでください。
- 主に来月や次の四半期の建玉が動かしている壁は、賞味期限がずっと長い。これが持続的なレベルです。
- 両方が動かしている壁、つまり短期と長期の建玉がどちらも集中しているストライクは、チャート上で最も信頼できるレベルです。長期の建玉は月曜の朝もそこに残っているので、毎週のリセットを生き残ります。
期間構造チャート(Expiryタブ)を使うと、これらを見分けられます。x軸は左のTOTAL/Combinedから、直近のデイリー、次のウィークリー、右端の次のマンスリーへと満期を並べています。緑の帯は各満期のP1/P2、赤の帯はN1/N2をたどり、マゼンタの線がガンマフリップです。

ここから読み取ること:
- TOTAL、次のウィークリー、次のマンスリーをまたいでほぼ同じ価格にあるレベルは、持続的な構造的レベルです。そのストライクの建玉は金曜リセットのあとも残ります。
- 直近の列(今日のデイリー、今週金曜のウィークリー)だけで突出していて、先の満期には現れないレベルは短期のレベルです。清算でおそらく消えます。
- ガンマフリップの線が満期をまたいで大きく傾いているなら、相場環境の境界そのものが時間軸によって違うということです。「今日のフリップ」として扱うべきレベルと、数週間の構造を動かすレベルは異なる場合があります。
実践上のポイント
数日がかりのシナリオを短期の壁に固定しない。 来週のスイングトレードを計画するなら、金曜目前の集中ではなく、より先の満期の構造を土台にしましょう。
金曜前の利確を真剣に考える。 金曜の最後の数時間に起きるA1のピン留めは、チャートで最も信頼できるパターンのひとつです。清算後は消えます。金曜の朝まで無期限先物のポジションを持ち越すなら、判断の基準は週足のテクニカルのセットアップではなく、A1にすべきです。
清算直後は積極的にトレードしない。 金曜午後と土曜の朝は建玉の密度が低く、レベルが不安定です。新しい姿が落ち着く月曜〜火曜まで待ちましょう。ポジションサイズもこれに合わせて、再構築中は小さく、サイクルが成熟するにつれて大きくします。
月末と四半期末
月末と四半期末には、リセットが重なって大きくなります:
- 月末の金曜: マンスリーのコントラクトも清算されます。ウィークリーとマンスリーの建玉が同時に消えるので、通常の金曜よりずっと大きなリセットです。
- 四半期末の金曜: マンスリーとウィークリーに加えてクォータリーが清算されます。サイクルで最大のリセットイベントです。チャートが劇的に変わることもあります。1年で最も強いA1のピン留めのいくつかはここで起き、その後には最も戸惑う月曜朝のチャートがやってきます。
これらの日はカレンダーに印をつけておきましょう。「チャートは何を語っているか」が最も役に立たず、「今日の磁石はどこか」が最も役に立つ日です。
覚え方
金曜がチャートを組み直す。短期の壁は24時間のシグナル、長期の壁は揺るがない骨組み。
GEXを数週間使ったあとで痛い目にあうのは、1週間のサイクルを体に染み込ませていないトレーダーです。壁は永遠ではありません。7日ごとにリセットされる建玉の姿のスナップショットです。それを前提にプランを立てましょう。
次のレッスン:GEXを完全に無視すべきとき。構造的な読みが通用しない条件と、そのとき代わりにどうするか。
理解度チェック
月曜の朝です。金曜の午後に読んだチャートとはまったく違って見えます。壁は移動し、ガンマフリップは$1,500動いています。何が起きているのでしょう?
金曜の清算で、満期を迎えたコントラクトがすべて消えました。月曜のチャートは新しい建玉から組み立てられていて、今はより先の満期が全体像を動かしています。読み間違いでもバグでもありません。毎週のリセットです。木曜のレベルが間違っていたのではなく、もう重要なレベルではなくなっただけです。
木曜の15:00 UTC(日本時間 金曜0:00)です。P1はこの3日間ずっと$96,000にあります。金曜朝のトレードで、このレベルをどこまで信頼すべきですか?
思っているほどではありません。木曜夜のP1は、その大部分が17時間後に満期を迎えるコントラクトでできています。金曜08:00 UTC(日本時間17:00)の清算後は、次の建玉の塊からチャートが組み直されます。木曜のP1は短期のセットアップに使い、数日がかりのシナリオの軸にはしないでください。
新しい週のサイクルが始まる火曜や水曜に、一番信頼できるレベルは?
目前の金曜より先のポジションが動かしているレベルです。たいていは次の月次または四半期の満期です。これらは建玉が大きく、集中が積み上がる時間も長く、毎週のリセットの影響を受けにくい。週の半ばは目先のレベルがノイズっぽくなりがちですが、より先の満期の構造は安定しています。